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給食のトリビア

「食べる」という体験を通して、食のことやマナー、地域の文化なども学ぶことができる給食。食育基本法や学校給食法の改正などで、近年では食育に力を入れた取り組みが全国的に広がっています。そんな給食のトリビアを、このページではご紹介します。

名産品の使用や地産地消の徹底も

 各自治体に運営が任されている給食は、地域でそのバリエーションもさまざま。地域で採れた農産物や水産品を使い、伝統的な郷土料理や行事食を献立に取り入れることで、子どもたちへの食育の機会としても大切なものになっています。
 たとえば、石川県珠洲市の小・中学校では、地元で揚がるスルメイカをフライやマリネなど、さまざまな料理で味わう「いか給食の日」があったり、大正期から栽培されている名産のトマトを使用したトマトカレーを提供する学校(埼玉県北本市)や、新茶で炊いた茶飯や緑茶を小・中学校の給食でふるまう自治体(静岡県沼津市など)もあるんです。
 地産地消に力を入れている愛媛県今治市では、地元産の食材を最優先に扱い、地元にないものは今治産、愛媛産、中国地方・四国地方産、国産……を順に使うと決められているのだそう。また、地域の畑や田んぼを借りて、子どもが農作業を経験しながら自分たちがつくった食べ物を味わう取り組みを行う学校も登場しています。
 文科省や農水省、食品メーカーなどが協力し、「地場産物を活かした我が校の自慢料理」をテーマにした全国学校給食甲子園なるイベントも開かれています。これは小・中学校、学校給食センターが全国6ブロックに分かれてメニューのユニークさやおいしさを競い合うもので、中国や台湾など海外からも注目を集めているとか。

使いやすかった?あのカトラリー

 みなさんが子どもの頃は、どんな食器で給食を食べていたでしょう? 昭和の給食を象徴するのが、フォークとしてもスプーンとしても使える「先割れスプーン」。給食以外ではなかなかお目にかからないこのカトラリーは、1959年、新潟県燕市の食器卸業者がメロンスプーンをヒントに、学校給食用に改良して生まれたといわれています。
 最盛期の1970年代初頭には年間600万本もの注文が入っていた先割れスプーンですが、1970年代後半にはお皿に口を近づけて食べる「犬食い」が問題化。犬食いは、当時使われていたアルマイト製の食器が熱くて持てないことも原因のひとつだったようですが、「マナーが悪いのはスプーン一本で食べさせるから」と、1976年に文部省が学校給食のカトラリーの多様化を打ち出します。ちょうど米飯給食が全国で導入されたタイミングでもあり、この頃から給食界ではなりを潜めていた箸が見直されるようになるんです。

お皿も進化、漆器を使う学校も!?

 昭和の給食では、耐久性の高さから金属製(アルマイトやステンレス)の容器が使われていましたが、前述のように熱い食事を入れると容器も熱くなってしまって手に持てないことから、時代を経るに従って、プラスチック製容器が使われるようになりました。
 ひと口にプラスチックといっても、ポリプロピレン、メラニン、ポリカーボネートとその材質も変わり、安全性の観点から改良が重ねられているといいます。また強度を高めて、かつ軽さも考慮した陶磁器や、地域でつくられる木製容器や漆器を導入しているところもあるんです。

あの調理家電が学校に!!

 高知県南国市では、家庭用の炊飯器で炊いたごはんを給食で食べているという話も。これは、地場産米を炊きたてで食べさせたいという教育関係者の想いから始まったもので、1998年から導入されているといいます。給食の時間に合わせて、学校内で炊かれたほかほかのごはんは好評で、取り組みが始まってからは残菜が減ったほか、生産者にとってもやり甲斐となっているそうです。

肉抜き曜日にスローフードまで、世界の給食事情

 最後に世界の給食事情も見てみましょう。日本で給食が始まったのと同じ頃、19世紀後半から20世紀初頭には、イギリスやドイツ、フランス、アメリカなどでも貧しい家庭の子どもを対象にした学校給食が始まっています。
 給食の広がり方も献立も国によってさまざまですが、たとえば日本の給食に大きな影響を与えたアメリカでは、1980年代から政府の財政難やファストフード業界との契約などによって、ハンバーガーや油で揚げたポテト、ピザなど安価で高カロリーのメニューが頻出するようになり、子どもの健康状態が悪化……。肥満児や糖尿病予備軍の子どもが増えてしまったことから、ニューヨーク市などの公立学校では、食生活を見直すことで自分自身の健康にも意識を向け、さらに環境問題にも関心を持ってもらうことを目的とした「ミートレス・マンデ−(肉抜きの月曜日)」なる取り組みが企画されているといいます。
 一方、美食の国・イタリアでは、有機食材を取り入れたオーガニックな給食に1980年代中頃から力を入れています。多くの幼稚園や小・中学校で有機食材やフェアトレードの食材などを使った給食が提供されているほか、食器もプラスチック製ではなく陶器やガラス製を導入、イタリア食の歴史や季節の食べ物を教える授業やワークショップなども積極的に行われているんです。


地域によっても世代によっても違いのある給食。子どもの頃に体験した給食のエピソードや好きだったメニューについて、職場や家庭でおしゃべりするのも盛り上がりそうですね!

参考文献(順不同)
牧下圭貴『学校給食―食育の期待と食の不安のはざまで』(岩波書店)/藤原辰史『給食の歴史』(岩波書店)/ケヴィン・モーガン、ロバータ・ソンニーノ(著)、杉山道雄、大島俊三(共編訳著)、堀田康雄、野澤義則、下内充(訳)『学校給食改革―公共食と持続可能な開発への挑戦』(筑波書房)/アスペクト編集部(編)『なつかしの給食』(アスペクト) 等

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