
周囲の雑音を消してくれるノイズキャンセリング機能。イヤホンやヘッドホンに採用され、音楽を聴くときだけでなく、仕事に集中するためにも活用されています。いざ選ぶとしたら、どんなタイプがよいのでしょうか。イヤホン・ヘッドホン専門店「e☆イヤホン」の東谷圭人さんと三友卓哉さんに解説してもらいました。
ノイズキャンセリング機能が注目を集めたきっかけは、2019年10月にAppleの「AirPods Pro」が発売されたことでした。それまでも、ノイキャン機能を持つイヤホンやヘッドホンはありましたが、Appleの新製品ということで改めて広く認知されるようになったのです。
新型コロナウイルスの影響でリモートワークが普及してからは、自宅でも生活音を気にせず仕事に集中できるため使われるように。また、換気のために電車の窓が開いた状態でも音楽が快適に聴けるなど、昨今の情勢にフィットしていることが追い風になっています。
ノイズキャンセリング機能には、大きく2つのタイプがあります。現在、注目を集めているのは、「アクティブノイズキャンセリング」という機能ですが、装着感や用途によっても選択肢が異なってきます。2つのノイキャン機能を、その仕組みとともに確認してみましょう。
そもそも音は、振動の波形によって私たちの耳に感知されています。アクティブノイズキャンセリングは、イヤホンやヘッドホンに搭載されているマイクがその波形を拾って、反対の波形(=逆位相)を発生させることで音を打ち消し、雑音を低減します。
耳を耳栓の要領で物理的にふさいで雑音を低減させる方法です。アクティブノイズキャンセリングの対義語として用いられます。アクティブノイズキャンセリングは人によって耳に“圧”を感じる人もいるので、そうした人はパッシブノイズキャンセリングに注目すると良いでしょう。
上記のほかに製品の説明に「cVcノイズキャンセリング」と書いてある場合があります。cVcは「クリアボイスキャプチャー」の略で、自分の声が相手に聞こえやすくするための技術であり、自分が聴く音に有用なわけではありません。
SONY が世界初の市販向けアナログノイズキャンセリング機能を搭載したイヤホン「MDR-NC10」とヘッドホン「MDR-NC20」を発売。オーディオファンや音楽ファンの間で、雑音が低減される物珍しさが話題になりました。
SONYが「MDR-NC500D」を発売。ノイズキャンセリングをデジタル処理することに成功し、ノイズキャンセリング機能が飛躍的に向上しました。
ケーブルを必要としない完全分離型のノイズキャンセリングイヤホン「AirPods Pro」が発売。それまでもノイズキャンセリングイヤホンはありましたが、Appleから発売されたことで目新しいオーディオ機器として、広くその機能が知られることになりました。
耳を丸ごと覆うヘッドホンは、遮音性が優れる上にアクティブノイズキャンセリングの効き具合も高い傾向にあります。一方、ワイヤレスの完全分離タイプは、軽くてマスクの着脱もしやすいなど、手軽さが魅力です。主にどんなシーンで使うのか、どの製品が自分にとって着け心地がよいかを、専門店で試聴してから決めるのがおすすめです。
せっかく高性能のイヤホンやヘッドホンを購入しても、間違った装着をしていては意味がありません。特に完全分離型のイヤホンを正しく装着できていないと、うっかり落としてしまうことも……。正しい装着方法の一例を紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
イヤホンを購入するとサイズ別のイヤーピースが付属していることがありますが、もしそれらでもフィットしなかった場合は、別売りのイヤーピースを購入するのもおすすめ。左右で耳穴の大きさが異なることも多いようです。耳にフィットさせることで、より周囲の音が気にならなくなるはずです。価格は900円〜2000円台と手頃。一般的なシリコン以外に、体温で形状が変わるタイプのものもあります。
周囲の音をシャットアウトさせたいだけなら、昔ながらの耳栓を使ってみるのも一案。今回取材の協力をお願いしたe☆イヤホンでは“オーダーメイド耳栓”を作ることも可能です。編集部でトライしてみました。
イヤホン・ヘッドホン専門店/世界中のポータブルオーディオが約5,000種類揃う専門店。東京・秋葉原店、名古屋大須店、大阪・梅田EST 店、大阪日本橋本店の実店舗では、すべての商品が試聴できるほか、買取りも行っている。また、オーダーメイドイヤーピースや耳栓が作成できるe☆イヤホン・ラボも展開している。オンラインでもイヤホン・ヘッドホンを販売中。
https://www.e-earphone.jp