
全国で外出自粛の動きが広がっていた間、運動不足や食生活の乱れから“コロナ太り”が気になった方も多いのではないでしょうか。ただ、体重が増えたからといって急に運動を始めてしまうと、思わぬケガにもつながってしまうもの……。そこでおすすめしたいのが、カンタンかつ効果が期待できる「7秒スクワット」です。今回は7秒スクワットの開発者で、内科医の宇佐見啓治先生にその実践法を教えてもらいました。
両足を開き、背筋を伸ばしたまま膝を曲げて腰を下ろすスクワットは、ダンベルなどの道具を使うこともありますが、基本的には自分の体重を利用してできるシンプルな自重トレーニングです。下半身の大きな筋肉を動かすことから、体全体への影響が大きく、筋トレの王道ともいわれます。両足の開き方や膝を曲げる深さでいくつかの種類があり、バリエーションを試してみることも可能です。
人間の体を構成する筋肉を大きい順に並べると、大腿四頭筋(前太もも)、大臀筋(お尻)、ハムストリングス(後ろ太もも)がトップ3になります。スクワットはこれらの大きな筋肉を使うトレーニング。下半身には筋肉全体の約7割が集中していることからも、スクワットは体の大部分の筋肉を効率的に動かすトレーニングと言えます。また、無酸素運動のため、筋肉内のグリコーゲンをエネルギー源として利用することができます。
「サルコペニア」「ロコモティブシンドローム」という言葉をご存知でしょうか? サルコペニアは加齢で筋力が落ちた状態、ロコモティブシンドロームとは筋力低下、関節の劣化、バランス能力の低下によって運動機能が低下した状態を指します。スクワットで筋肉量を維持できれば、こうした状態になることを予防し、いつまでも動ける体をつくることができます。老後資金を貯めていくように、健康寿命のための筋力の貯金となるのです。
筋肉に蓄えられているエネルギー源が不足していることが条件となるものの、スクワットには血糖値を下げる効果もあります。そのため、生活習慣病の代表例ともいえる2型糖尿病が持病の人にも効果が期待できるもの。実際、宇佐見先生が運動療法にスクワットを取り入れたことで糖尿病が改善した患者さんはたくさんいるそうです。
こちらの図は、筋肉量・脂肪量と死亡率を表したマトリックスです。死亡率が最も低いのは、筋肉量が多く脂肪量が少ないグループ、逆に死亡率が最も高いのは筋肉量が少なく脂肪量が多いグループでした。また、脂肪も筋肉も少ないグループより脂肪も筋肉も多いグループの方が、死亡率が低いことがわかっています。ダイエットをして脂肪を減らすより、筋トレをして筋肉を増やしていく方が長生きの秘訣と言えるでしょう。
肥満を解消する方法は、大きく2つ。食べる量を減らすか、消費するエネルギーを増やすかです。スクワットを行って筋肉を増やすことができれば、基礎代謝として消費するエネルギーも増やすことができます。結果として、肥満解消につながるのです。
スクワットのなかでもTrace編集部がおすすめしたいのが「7秒スクワット」。内科医である宇佐見先生が糖尿病患者のために簡単に続けられる運動はないかと、15年の試行錯誤を経て完成したトレーニングです。足の開き幅や腕の位置など、すべてが計算し尽くされていて、運動経験がなくてもカンタン・安全に始められるのがポイント。ぜひ、皆さんも「7秒スクワット」をやってみましょう。
7秒スクワットは、運動療法が続かない人向けに考えられた安全な筋力トレーニングです。毎日2時間のウォーキングを続けましょう、と言われると気後れしてしまいますが、7秒スクワットは「1日3セットを週2回」が目安ですから気持ちもラクではないでしょうか? すでに血糖値の高い人は、2〜4週間続けると血糖値が下がっていくはずです。さらに、肩こりが解消したり、コレステロール値が改善したり、体型に変化が起きたりと、体の内側にも外側にも変化が現れる人が多数います。まずは2週間続けて効果を実感してみましょう。
日本内科学会認定医。うさみ内科医院長。日本糖尿病学会所属/福島県生まれ。福島県立医科大学卒業。福島県立医科大学附属病院、福島赤十字病院を経て、うさみ内科を開設。内科全般や糖尿病などの生活習慣病を中心に治療にあたり、25年前から糖尿病に筋トレを取り入れて目覚ましい治療効果を上げる。著書『血糖値がみるみる下がる!7秒スクワット』好評発売中。