トップページ > 特集 vol.78 ラグビーW杯のトリビア

ラグビーW杯のトリビア

本日(9/20)から11月2日まで、日本の12都市で48試合が争われるラグビーW杯。日本での初開催にちなみ、このページではW杯のトリビアを集めてみました。サッカーから半世紀以上遅いスタートとなったラグビーW杯にもさまざまな逸話があるようで……。

順風満帆ではありませんでした?

 いまや世界的なスポーツイベントとなったラグビーW杯が始まったのは1987年のこと。1930年に第1回大会が行われたサッカーと比較すると半世紀以上遅いスタートとなりますが、それもこれも、ラグビーはアマチュアリズムに則って、どちらが強いかという対抗戦を重視していたため、不特定の相手と対戦するような大会はこのスポーツの本意に反するという意見が大きかったようです。そのため1985年、W杯開催の是非が国際ラグビーボード(IRB)で問われた際も、ラグビーの伝統国・地域が2票ずつ票を持つ中、南半球勢とフランスが賛成、イングランドとウェールズは賛否を1票ずつ振り分け、スコットランドとアイルランドは反対と、満場一致での開催決定にはならなかったとか。
 ただし、1987年に16チームが招待され、ニュージーランド、オーストラリアで第1回大会が行われると、回を重ねるごとに人気も規模も拡大。32試合が行われ、60万枚のチケットが販売された第1回大会から28年後に開催された第8回大会(2015年)では、参加チームは20チーム、試合数も48試合に増加し、観客総動員数は約247万人を記録。世界で40億人以上がテレビ視聴をしたといいます。

気になる優勝賞金は……

 「4年に一度」の開催はサッカーの世界と変わらないものの、ラグビーならではの精神が息づいているのが賞金の有無。実は、ラグビーW杯では優勝賞金は「なし」なんです! サッカー界でも、2006年大会までは優勝賞金はなかったものの、スポンサー収益の拡大によってその後の大会からは出場国に分配されるようになり、昨年(2018年)のロシア大会では優勝国に過去最高の約43億円が支払われたといいます。一方、アマチュアリズムを大切にするラグビー界では、W杯に出場すること自体が最大の名誉。ですから賞金は今回の日本大会でもないのだそう。

優勝杯も掘り出し物!?

 ちなみに、W杯の優勝国・地域に贈られる優勝杯「ウェブ・エリス・カップ」も、大会開催に合わせて新たにつくったものではなく、大会役員がロンドンの宝飾店で見つけてきたものだとか。1906年製で高さは47.2cm、重さは4.5kgの純銀製のカップは金箔で覆われており、台座には歴代の優勝チーム名が刻まれています。

選手の活躍を支えるハイブリッド芝

 横浜の日産スタジアムはW杯決勝をはじめ、多くの試合の開催が予定されています。実はこのスタジアムには日本初の芝生が導入されているのだとか。ほかの競技と比べて、芝生にとってダメージの大きなラグビーに備えて、天然芝だったこのスタジアムには天然芝と人工芝を混ぜ合わせたハイブリッド芝が導入されたんです。
 ハイブリッド芝とは、天然芝に5%以下の割合で人工芝を入れたもので、人工芝を植えることで天然芝の根が人工芝と絡み、強度を増すことができるというもの。2019年6月に全面張替工事が行われ、日本で初めてカーペット型のハイブリッド芝のシステムを導入したことも注目されました。耐久性と耐寒性、擦り切れ抵抗性にも優れているこの芝は、日陰でも温度が低くても成長しやすく、かつての天然芝より選手のパフォーマンスをしっかりと支えてくれることが期待されています。

一丸となってトライを目指す!

 W杯期間中には、車いすラグビーの国際大会である「車いすラグビーワールドチャレンジ」も開催されます。東京五輪・パラ五輪を控えて、近年盛り上がりを見せているパラスポーツですが、車いすラグビーはその激しさから「マーダーボール(殺人球技)」と呼ばれていたほどの競技なんです。
 ラグビーはもちろん、バスケットボールやアイスホッケーなどさまざまなスポーツの要素を組み合わせた車いすラグビーは、バスケットボールと同じ広さのコートを使い、専用の車いすに乗った選手が4対4で対戦します。ボールを膝の上に乗せたり、味方にパスなどをして前進しながら、車いすの前後4輪のうち“2輪”がトライラインに達するか通過すれば1トライとなるところはラグビーと似ていますが、このパラスポーツを特徴づけるのが、出場選手の編成に障がいの程度に応じた「持ち点制」を採用していること。障がいが軽く運動能力が高い選手だけでなく、障がいが重い選手にも出場チャンスが生まれ、性別にもとらわれないこの制度を取り入れることで、男女混合でチーム一丸となってトライを取りにいくエキサイティングなゲームとなるんです。
 1970年代にカナダで生まれた車いすラグビーは、“ラグビー”といっても前方へのパスが認められていたり、バスケットボールのようにドリブルして進んだり、ボールも楕円形ではなくバレーボールをベースにした専用球を使っているのもユニークなところ。もともとバレーボールそのものを競技で使っていましたが、2000年のパラ五輪・シドニー大会から専用のボールが使われているといいます。

反則行為もときに見逃す!?

 最後にこのスポーツに欠かせないレフェリーの話を。「ルールが難しい」といわれがちなラグビーですが、ラグビーならではのレフェリーの役割を頭に入れておけば、W杯観戦の楽しみも増すかもしれません。
 野球やテニスのアンパイアが、ストライクかボールか、ボールがラインの中に入ったか外に出たかなどの“白黒をつけるジャッジ”が主な仕事である一方で、ラグビーをはじめ、サッカーやボクシングなどの競技のレフェリーをイメージすると、試合がスムーズに進行するように積極的なプレーを促したり、もめ事の仲裁を担うケースが多いものですよね。特に、ラグビーのレフェリーを特徴づけるのがアドバンテージの適用。反則行為を罰しないほうが反則を受けたチームに有利な場合、プレーが継続されるこの制度はサッカーにも見られますが、サッカーよりも選手の行動への制限が少ない上に接触が激しく、次々に戦局が変化するラグビーでは、すべての反則を取り締まっていてはゲームがなかなか進まないため、アドバンテージを適用して反則をうまく見逃すこともレフェリーの仕事のひとつなんです。
 また、レフェリーが選手に声をかけている姿も目にする機会が多いですが、これも反則を未然に防ぐために声をかける「プリベント」といわれるもの。反則をときに見逃し、ときに未然に防ぐことで、自由でダイナミックな動きが生まれているんです。


サッカーファンの6倍ものビールを消費するといわれるラグビーファン。これから11月までのW杯期間中には、全国の至るところで勝利の祝杯はもちろん、負けはしても相手を讃える乾杯の歓声が響きそうですね!

参考文献(順不同)
山本浩『フットボールの文化史』(筑摩書房)/末冨鞆音『ラグビー大百科』(勁文社)/藤島大『序列を超えて。ラグビーワールドカップ全史 1987-2015』(鉄筆)/李スンイル『ラグビーをひもとく 反則でも笛を吹かない理由』(集英社)/大友信彦『ザ・ワールドラグビー』(新潮社)/『ラグビー 戦後70年史』(ベースボールマガジン社)/日本ラグビーフットボール協会(ホームページ)/日刊スポーツ(同) 等

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