私たちの生活になくてはならない国道。あまりにも身近な存在だけに、「毎日走っている国道の起点や終点なんてわからない」という人も少なくないかもしれませんが、知れば知るほど奥深いのが国道の世界。今回の「Trace」は、知られざる国道ワールドを走破します!
そもそも「道」とは、国家の誕生以前から人間の暮らしのなかで自然発生的に生まれ、発展してきたものですが、日本で権力者がその支配を拡大するために計画的に道路網を整備し始めたのは、6、7世紀頃といわれています。
日本で最初の計画的な道路網は、いまでいう“首都圏”の畿内(きない)を起点に地方諸国を結んでいた「七道駅路(しちどうえきろ)」。668~686年頃に本格的な整備が進み、現在の奈良・京都・大阪から、東海道・東山道・北陸道・山陰道・山陽道・南海道・西海道の7つの道路が放射状に延びていました。政治や経済のために国家が整備する道を「国道」と考えれば、この七道駅路が日本の国道のルーツといえるんです。
国道1号といえば、東京・日本橋から、名古屋、京都、大阪を結ぶ日本の大動脈。ただし、国道1号は時代によって、起点と終点が異なることをご存じですか?
国道は、政治・経済・文化的に重要な都市や、港湾・空港・高速道路などを結ぶ役割を担っています。そのため、外交や貿易を重視していた明治期には東京から港がある横浜まで、軍国色が強まった大正期には東京から伊勢神宮を結ぶ道が、国道1号だったのです。
現在の国道1号は、江戸時代に天下の街道として賑わった東海道を踏襲し、1952年に指定されました。このときに新道路法が施行され、道路を国道と都道府県道、そして市町村道に分けて指定するという道路体系がスタートします。ちなみに「古代の国道1号」というべき存在なのが、奈良県葛城市から大阪府堺市を結ぶ竹内街道。現在の国道166号に相当し、推古天皇の時代に日本初の官道(現代の国道)に定められた道なんです。
いま、国道は1号から507号まで、全国に459路線存在しています。そんな国道の“ナンバーワン”をここでご紹介しましょう!
起点から終点までの道路の総距離で最長を誇るのが、国道4号の743.6km! 東京都中央区を起点、青森県青森市を終点として、8つの都県と5つの県庁所在地を通る長距離路線は、山地が多い日本では珍しく厳しい山越えもなく、トンネルはわずか4カ所のみの快適国道なんです。
日本最短国道は、兵庫県神戸市にある国道174号。港湾と幹線国道を結ぶ「港国道(みなとこくどう)」と呼ばれる路線で、神戸港から幹線国道の国道2号までの距離は200m足らず! ただし、短いながらも車線は最大11車線と貫禄もあるんです。
もっとも標高が高いのが国道292号。群馬と長野の県境にある渋峠の標高は2,172mで、例年11月から4月くらいまでは積雪で閉鎖されてしまうほど! この路線は草津温泉や志賀高原、地獄谷などを通る風光明媚な路線としても知られています。
もっとも低い地点を走るのが、神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ国道409号(東京湾アクアライン)。国内でも4番目に長いトンネルの最深部は、海面下約60mにもなるんです。
北海道札幌市と旭川市を結ぶ国道12号は、約29kmという日本一長い直線道路を持つ国道。滝川市と美唄市のあいだを一直線に結ぶ道路は明治時代に建設されたもの。北海道で収監された囚人たちがかり出され、わずか3カ月あまりで完成させたのだそう。
国道1号の起点でもある東京・日本橋は国道マニアの聖地。「日本国道路元標」のモニュメントがあり、7つの路線の起点・終点となっています。ただし、起終点がもっとも多く集まるのは、新潟県新潟市の本町交差点と高知県高知市の県庁前の2カ所。聖地よりもひとつ多い、8つの路線が集まる“ウラ聖地”なんです!
どんなモノゴトも熱烈なファンやマニアが“ジャンル”を築いていくように、国道の世界にも愛好家によるさまざまな楽しみ方が存在します。
例えば「酷道(こくどう)」。酷道とは、国道とは思えないほど道路が荒れたり酷い状態になったりしている国道の呼び名で、酷道愛好家は国道マニアのなかでも最大勢力を誇っているのだとか。知られざる国道マニアの世界、ここで少しのぞいてみましょう。
ガードレールなしで一車線の道幅しかないような道や、川が横切る道など、国道とは思えないほど酷い道を走破する活動のこと。オフロードバイクファンなどのあいだで昔から楽しまれていたのが、インターネットの発達で情報交換が容易になり、国道の楽しみ方のひとつとして確立されたといいます。大阪府大阪市と奈良県奈良市を結ぶ国道308号にある暗峠は、スキーコースに匹敵する最大傾斜度31%の坂道や、道幅2.2メートルの狭小部分があるなど、走行困難な酷道のひとつとして有名。
どんな国道であれ、起点と終点が必ずあるもの。国道完走はひとつの路線をすべて走りきることを目的とした活動。一路線を何度かにわけて走ることは「塗り」、一度にすべて走りきることは「一気走行」と呼ばれています。地図上ではわからない国道の“生きた姿”を体感できるという魅力があるものの、一方通行区間や酷道に泣かされるパターンもあるのだそう……。
国道マニアの世界ではスタンダードな楽しみ方のひとつで、ドライブ中に見つけた国道標識を撮影し、コレクションするのがメイン。青地に白で「国道 ○○ ROUTE」と書かれた国道標識は正式名称を「国道番号」と呼びますが、逆三角形の形状から「おにぎり」と親しみをこめて呼ばれています。このおにぎりのとりことなり、スペルミスのある「誤植おにぎり」や、標識の“設置方法の違い”に楽しみを見出したり、おにぎりのキーホルダーやステッカーなどのアイテムをコレクションしたりする愛好家も。
国道や高速道路を走らずに、都道府県道や市町村道、林道を利用して都市から都市への走破をめざす活動で、地図上でルートを検討したり、実際に走行・検証したりします。「国道を十字路で越えるのはOKだが、それ以外での国道の走行はNG」などのルールもあり、簡単なようでいて難しいのだとか。ちなみに最新の研究では、青森から下関までを非国道で走破することが可能と考えられているようです。
道路の起点や終点を示す目印である「道路元標」を探し回る活動。筋金入りのマニアは、大正時代に全国で1万以上設置されたと考えられる道路元標の生き残りを熱心に探し回っているのだそう。国道の古い痕跡をたどるジャンルには、このほかにも、かつての国道である“旧道”を探索する「旧道探索」があります。
国道は1号から507号まで459路線あることは上でも触れましたが、なぜ“欠番”が存在するのでしょう?
これは、戦後に国道が制定された当初、国の骨格を形成する最重要路線である「一級国道」と、一級国道に準ずる主要な道路である「二級国道」の区別があったことにヒミツがあるようです。
国道指定の際、一級国道には1ケタから2ケタの番号、二級国道には3ケタの番号が割り当てられていました。しかし、一級国道は58号までで打ち止めとなり、国道番号としてまだ日の目を見ていなかった59から100までが、使われずに残ってしまったのだそう。さらに、二級国道から一級国道へ昇格したり、国道の統廃合が進んだことで、欠番となった路線番号もあるんです。
なお、日本で最後に国道が新設されたのは1993年。20年以上にわたって新しい国道は誕生しておらず、関係者のあいだでは「もう新しい国道はつくられないのでは?」とささやかれているのだとか。
普段、何気なく走っている国道にも、さまざまなストーリーや楽しみ方があるんですね。次ページの国道のトリビアもお見逃しなく!
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