
さまざまな食品やドリンクに適用されているトクホ。身近なヨーグルトやお茶製品にも登場していますが、一体どんなものかと問われると、いまいち理解しきれていないもの。トクホについて、正しく理解するための知識をご紹介します。
食品には、生きるための栄養を摂る機能、そして食事をおいしく食べる味覚の機能があります。さらには体調を整え病気を防ぎ、健康を維持する機能もあるでしょう。特定保健用食品〈トクホ〉は、その体調調整に着目したもの。乱れた生活習慣による健康リスクをサポートするように工夫された食品です。健康に対してどのような機能を持っているかの「保健の用途」を表示し、消費者庁が許可したものを指します。トクホには、体調を整える働きのある「関与成分」が必ず含まれ、健康状態をよくする効果が期待できるというわけなんです。
トクホ以外にも、保健機能食品として国で表示制度が認められている食品があります。それが「機能性表示食品」と「栄養機能食品」です。それぞれ国の審査や届出が少しずつ違うのでチェックしてみましょう。
トクホ商品はいつごろから市場に並んでいるかご存じですか? CMなどの影響で、この10年くらいで浸透してきたイメージがあるかもしれません。しかし、トクホが制度化されたのは1991年、トクホ第1号が初めて許可されたのは1993年のこと。実は30年も前のことになります。その後、生活習慣の変化や高齢者の増加などにより、生活習慣病の予備軍が増えたことを受け、2003年に「健康増進法」が施行。2006年の医療制度改革において2008年からメタボリックシンドロームに着目した健康診査と保健指導の実施が義務付けられました。それにともなって私たち自身の健康志向も高まり、1993年に13品目だったトクホは、年々右肩上がりに増え、ピークの2015年には1210品目になっています。特に2003年ごろからは中性脂肪・体脂肪関連の市場が大幅に拡大。トクホの品目数は、私たちの健康意識を表しているのかもしれません。
トクホの市場規模は、2018年度で6,432億円(※)になっています。また、表示許可品目は2019年9月19日現在で1068品目となっています。目的別では多い順に、整腸関連、中性脂肪・体脂肪関連、コレステロール関連。なかでも整腸関連が市場の半分以上を占めています。
※メーカー希望小売価格ベース、2018年12月末現在
代表的なトクホや意外なトクホを、目的別にご紹介します。
食生活の改善を補助する役割を持つトクホ。一定の効果はありますが、あくまでも生活習慣の改善とともにあります。医薬品のように病気や体の不調を治すものではないので、過度な期待を求めるあまり自己判断で中止することのないようにしましょう。またトクホは、普段バランスの取れた食生活を送ったうえで摂りたいもの。主食、主菜、副菜を基本にした食事とセットで考えましょう。
出典:『[トクホ]ごあんない 2019年版 消費者庁許可 特定保健用食品』公益財団法人 日本健康・栄養食品協会