おとなの補習時間

近年、高性能なカメラを搭載したスマートフォンが増え、気軽に写真を撮れるようになりました。けれど、撮った写真がイメージしたものと違う…なんて感じたこと、ありませんか?
そこで今回は、プロのカメラマン和氣 淳(わけ あつし)さんに“いつもの写真がもっと素敵になる”スマホ撮影テクニックを教えてもらいました。ポイントはカメラの機能よりも「撮り方」!
料理や風景、子供、夜景など、シーンに応じた撮影テクニックを教えてもらい、早速編集部が撮影してみました。

外食時、おいしい料理を撮影したい!

スマホで撮影する機会が多い料理。SNSにアップしている人も多く、仕上がりにはセンスが問われます。
料理はとてもデリケートな撮影対象なので、しっかりとコツを覚えましょう。

ありがちな失敗例

  • 全部のお皿を入れようとして、とりとめのない写真になる。
  • 明るさが足りずに仕上がりが暗くなってしまう。
  • 急いで撮影したために、水や伝票などの余計なものが入ってしまう。

撮影ポイント

メインになるお皿を決める!

パスタセットであればパスタ、定食であれば主菜など、メインとなる一皿を決め、そのお皿が手前に来るようにレイアウトを変えましょう。

料理撮影は画面を縦に!

料理撮影の際には、奥行きを出した方が立体感のある仕上がりになります。また、写真の奥に空間の抜けを作るのもポイントです。

メイン料理はお皿がはみ出るくらいアップで撮る!

全体を写すよりも、お皿がはみ出るくらいアップで撮った方が料理が美味しそうに見えます。また、レンズと料理を近づけ過ぎると画面が歪むので、少し遠めからズーム機能を使いましょう。

公園で遊ぶ子供やペットを撮影したい!

公園で遊ぶ子供やペットは格好の被写体。しかし、よく動き回るだけに撮影の難易度は高めです。
これから紹介する撮影術で、とびっきりの一瞬を切り取りましょう。

ありがちな失敗例

  • 被写体の動きが早く、写真がブレてしまう。
  • いい表情だ!と思って撮影しても、タイミングが一歩遅く、ベストショットが撮れない。


撮影ポイント

思い切って広く撮影!トリミングで思い通りの構図に

子供やペットなど、激しく動くものをスマホのカメラで捉えるのは非常に難しいです。
被写体と距離を取って、広く撮影後、トリミングで好きな構図に切り取りましょう。
また、子供やペットは横の動きが多いのでカメラを横向きにして撮影するのがポイントです。

いい表情は一瞬! 何枚も連続で撮影を!

顔の表情は一瞬で変わります。ベストな一瞬を捉えるには、一枚で決めようとせず、連続で写真を撮りましょう。お使いの機種に連射機能がある場合は多いに活用してください。

子供の目線の先に空間を作るイメージで!

子供の位置を画面の中央からずらした構図で、目線の先に空間を作り、奥行きのある写真に仕上がります。

散歩中に見つけたキレイな花を撮影したい!

公園や道ばたなど、様々な場所に咲いている花。鮮やかな色は思わずシャッターを切りたくなりますね。
しかし、花は簡単に見えて、結構落とし穴があります。

ありがちな失敗例

  • ピントが甘く、全体的にボケた印象になる。
  • 出来るだけ多くの花を入れようとして、締まりのない写真になる。

撮影ポイント

コントラストのはっきりした花を選ぼう!

花は輪郭がはっきりしていないものが多いので、ピントが合わせにくい被写体です。コントラストのはっきりした花を選ぶことで、写真にシャープさを出すことができます。

背景を活かして、奥行きを出そう。

花だけを撮影するよりも、空を写したりと、背景の奥行きを意識することで、立体感のある写真になります。ピントを手前の花に合わせると、奥の花や風景がボケてメリハリのある印象に仕上がります。

ピントを意識して寄り過ぎない。

花びらを撮ろうとして近づいても、ピントが合わないケースがあります。そんな時は、少し離れてズーム機能を使うとキレイに撮影できます。

自慢の愛車を撮影したい!

愛車のカッコいい姿を撮影したものの、写真になるとこじんまりしてしまう。
一工夫を加えるだけで、今にも走りだしそうな写真に様変わりします。

ありがちな失敗例

  • 目線の高さから撮影して、中古車カタログのような感じになる。
  • 車の前面から撮影した場合、ボンネットが歪んでしまう。

撮影ポイント

思い切ってローアングルで撮影しよう!

目線の高さから撮影すると、動きのない写真になりがちです。寝転ぶぐらいの勢いで下から撮影することで、臨場感のある写真に仕上がります。

ハンドルを切って動きを出す。

ハンドルを切ってタイヤに動きを加えると、停まっている車が、今にも走り出しそうな写真に。タイヤのホイールがよく見える位置から撮影しましょう。ドアやハッチバックを開けるなども、写真に動きを出したい時におすすめです。

パーツをクローズアップして迫力ある写真に!

各パーツのクローズアップを撮ってみましょう。望遠気味で、いろんなアングルで試してください。カタログのイメージ写真のような迫力のあるかっこ良さを意識しましょう。

光り輝く夜景を撮影したい!

高層ビルの上やタワーの上から見える夜景。
目で見るとスゴく美しいのに、写真にするとボケていたり、光が弱かったりとがっかりすることも多いです。

ありがちな失敗例

  • 全体的に光が少なく、ボケやすいため、何を撮影しているのかわからない。
  • ガラス越しに撮影するため、自分の姿など、余計な物が映り込んでしまう。

撮影ポイント

手ブレは禁物!壁や持ち物でカメラを固定しよう。

暗い場所を明るく鮮明に写すには、光を多く取り込む必要があります。そのため、シャッターを切る間隔が長くなり、手持ち撮影だとブレることも。スマホの縦横を壁に付けたり、持ち物で固定して撮影すれば、ブレを防ぎやすくなります。

カメラとガラスはぴったりくっつけて!

ビルの上層階から撮影する場合、ガラスとカメラを付けることで、映り込みを防ぐことができます。

タイマーモードやHDRモードを活用!

シャッターを押す際に指が触れることが手ブレの原因になります。タイマーモードを使って自動でシャッターを切りましょう。また、露出の違う複数枚を組み合わせるHDRモードであれば、より明暗の差がついた、肉眼に近い写真に仕上がります。

スマホ撮影の注意点!

「スマホ撮影の一番の敵は手ブレです!シャッターを押すときにブレることも多いので注意しましょう。構図を工夫するだけで、写真の仕上がりは大きく変わるので、ぜひ一度試してください!」

和氣 淳 (わけ あつし) さん 和氣 淳 (わけ あつし) さん
フォトグラファー。2000年よりフリーランス。出版から広告まで幅広い分野で活躍中。登山や海外の自然などから、料理やポートレイトなどにも対応している。

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