トップページ > 特集 vol.43 テレビドラマのこれから

テレビドラマのこれから

社会現象となったトレンディドラマから、メディアの進化やライフスタイルの変化でさらに多様化が進む現代のドラマ事情。テレビドラマはこれからどうなる……?

都市伝説を生み、中年男性を鼓舞!!

 軽いタッチのトレンディドラマに代わり、1990年代に入ると純愛路線のトレンディドラマが登場します。柴門ふみ原作で1991(平成3)年に放送された「東京ラブストーリー」(フジテレビ)は、この時代を代表する月9ドラマ。鈴木保奈美演じるリカの自由奔放な姿は、それまでのドラマになかった新しい女性像を提示し、若い女性を中心に社会現象と呼べる支持を集めます。最終回でリカが織田裕二演じる完治と待ち合わせをしていた駅(愛媛県松山市の伊予鉄道高浜線梅津寺駅)は、「駅の切符を持っていれば素敵な出会いが訪れる」という都市伝説まで生まれたほどなんです。また、小田和正が歌う主題歌「ラブ・ストーリーは突然に」は250万枚を超える大ヒット! このドラマ以降、トレンディドラマから数々のミリオンセラーが生まれるようになります。
 同作に続けて月9で放送された「101回目のプロポーズ」も、武田鉄矢と浅野温子という“美女と野獣”のキャスティングによる誠実な恋物語が人気を博し、当時のフジテレビの連続ドラマ史上最高視聴率を記録。「僕は死にましぇん!」「50年後の君を今と変わらず愛してる」といった武田の名セリフは、中年男性から「勇気づけられる」という反響を呼び、このセリフを真似てプロポーズする男性も多く現れたのだそう。

バラエティ枠の時期もあった「月9」

 上の2作品をはじめ、多くの人気ドラマが生まれた「月9(ゲツク)」。フジテレビの月曜夜9時枠を指すおなじみの言葉ですが、もともとこの時間帯は1969(昭和44)年の海外ドラマ「スパイ大作戦」に始まり、バラエティ枠だった時期もあったそう。ドラマ枠として定着したのは、TBSに対抗して同局がドラマを強化し始めた1987(昭和62)年から。その後、月9枠のトレンディドラマが全盛となったことでフジテレビの看板ドラマ枠となるのです。

バブル崩壊でファミリードラマが人気に?

 バブル崩壊を機に、テレビドラマにも大きな変化が訪れます。トレンディドラマ全盛期には影を潜めていたホームドラマが再び視聴者から注目され、1981(昭和56)年に放送開始された連続ドラマ「北の国から」の「’92 巣立ち(前・後編)」(フジテレビ)が高視聴率を記録!  “青春ホームドラマ”と呼ばれた「ひとつ屋根の下」(フジテレビ)やホームコメディ「ダブル・キッチン」(TBS)も人気を集めたほか、1990(平成2)年から断続的に続いていた橋田壽賀子ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」(TBS)も、広い世代から支持を集めたといいます。
 一方で、いじめや貧困、援助交際の問題や障害者を主人公にしたものなど、従来はなかなか描かれなかったテーマに取り組むドラマも登場。さらに、テレビドラマの本流のひとつだった刑事ドラマにも大きな変化が訪れます。
 織田裕二演じる元サラリーマンの刑事・青島を軸にした刑事ドラマ「踊る大捜査線」(フジテレビ)は、それまでの刑事ドラマにありがちだったカーチェイスや銃撃戦といった要素はないものの、警察内のキャリア組とノン・キャリア組の対立がそのまま企業の物語に置き換えられそうな異色のストーリーで支持を集めます。放送終了後もスペシャル版や映画製作が行われ、フジテレビがネット上にドラマの公式サイトを初めて設けた作品でもあるんです。

昼ドラ再燃を支えた料理

 前ページでは昼ドラのルーツをご紹介しましたが、2000年代は昼ドラの名物といえるドロドロの愛憎劇が、“食”の観点から脚光を浴びた時代でもあります。2002(平成14)年に放送された菊池寛原作、中島丈博脚本の「真珠夫人」(東海テレビ・フジテレビ)では、元婚約者に未練がある夫に対して嫉妬に狂った妻がコロッケと称して食卓にたわしを出す「たわしコロッケ」のシーンが話題に……。
 その後、同枠の昼ドラでは、牛革財布にソースをかけた「財布ステーキ」(牡丹と薔薇/2004〈平成16〉年)や「五寸釘入り玄米パン」(偽りの花園/2006〈平成18〉年)など、数々の“愛憎料理”が登場。特に、2人の思い出の品を具材にした「愛の歴史ケーキ」(さくら心中/2011〈平成23〉年)は、「男が一番嫌な食べ物を作ろう」という制作陣の発想から生まれた、極めつけの一品だったとか。

海外ドラマも活況の2000年代

 2000年代は「冬のソナタ」に始まる韓流ブームで韓国ドラマに注目が集まりましたが、1990年代後半から根強い人気だったのが「アリー・myラブ」や「ER緊急救命室」(ともにNHK)といったアメリカ発の海外ドラマ。なかでも「ER緊急救命室」は制作費が高額なドラマとして知られ、2000(平成12)年から2001(平成13)年に制作されたシーズンは、番組の価格が各エピソードにつき1300万ドル(当時のレートで約14億円)にも上っていたのだそう。ゴールデンタイムに放送される日本のテレビドラマの制作費は高くて5000万円ほどといわれていますから、まさにケタ違いですね!

テレビドラマはネットと融合へ……?

 近年もさまざまな話題作が生まれているテレビドラマですが、動画配信サービスの普及で、テレビ局がネット配信限定のオリジナルドラマを手がけるケースも増えてきています。フジテレビは、2015年9月に日本に上陸して話題となった動画配信サービスのNetflixとパートナーシップを結び、連続ドラマ「アンダーウェア」をNetflix上で先行配信した後に地上波での放送を実施。一方で、日本テレビは動画配信サービスHuluと共同制作した、海外ドラマのリメイク版「THE LAST COP/ラストコップ」の第1話を地上波で先行放送し、第2話以降はHuluで配信するという取り組みを行って話題になりました。

1980年代から続く深夜ドラマも好調

 ネットだけでなく地上波放送のテレビドラマにも新しい波が。テレビ東京が2005(平成17)年からスタートしていた深夜24時台のドラマ枠「ドラマ24」から、森山未來主演で映画化もされた「モテキ」や、“予算の少ない冒険活劇”として続編も好調な「勇者ヨシヒコ」シリーズ、そしてグルメドラマの先駆けとなった「孤独のグルメ」など、数々の話題作が登場。深夜ドラマといえば、1988(昭和63)年の「やっぱり猫が好き」(フジテレビ)に代表されるように、1980年代後半から多くの実験的な作品が制作されてきましたが、視聴者のライフスタイルの変化に合わせてドラマも日々進化しているようです。


地上波では新しいドラマが始まり、動画配信サービスでは過去の名作テレビドラマも充実しています。秋の夜長はドラマ漬けになってみてはいかがでしょう?

  • 1
  • 2

Traceおすすめの関連商品

  • 【DVD】3年B組金八先生第7シリーズ DVD-BOX 2
  • 【DVD】男女7人秋物語 DVD-BOX
  • 【Blu-ray Disc】東京ラブストーリー Blu-ray BOX
  • 【Blu-ray Disc】「孤独のグルメSeason5」 Blu-ray BOX
楽天ブックス

楽天ブックスはいつでも全品送料無料!

本はもちろん、CD、DVD、ゲーム、PCソフトも日本最大級の品揃え!

倍増TOWN経由で楽天ブックスをご利用いただくとNTTグループカードご利用ポイントが3倍!(2016/10/20現在)

※倍増TOWNのご利用にはMyLinkへのログインが必要です。 ※一部ポイント加算の対象外となる商品・ご注文がございます。詳しくはこちら

※別途送料がかかる場合がございます。 ※掲載の商品は、在庫がない場合や予告なく販売終了する場合がございます。あらかじめご了承ください。 ※価格は変動の可能性がございます。最新の価格は商品ページでお確かめください。 ※商品の色はご覧頂いている環境によって実際の色とは異なる場合がございます。

PageTop