本格的な味や健康志向のハンバーガー店のオープンラッシュで、いま、ハンバーガー業界には新しい風が吹いているようです。そもそもアメリカで誕生したハンバーガーは、どのようにして本国で広まり、日本に入ってきたのでしょう? 今月の「Trace」は、愛すべきハンバーガーの秘密に迫っていきます。
牛肉のパティを2切れのパン(バンズ)で挟んだハンバーガー。この食べ物が生まれた国・アメリカには、ハンバーガーの由来についてもたくさんの説があります。
よく知られているのは、1904年に開催されたセントルイス万国博覧会の会場で、丸いパンにハンバーグを挟んで売り出されたのが始まりというもの。ほかにも、テキサス州アセンズで軽食堂を営んでいたフレッチャー・デイヴィスが1880年代に考案した、ウィスコンシン州シーモアのチャーリー・ナグリーンが考案者である、1885年にニューヨーク州エリー郡の縁日でメンチェス兄弟が初めて販売した……など諸説あり、「ハンバーガーの考案者が明らかになることはない」といわれているほどなんです。
とはいえ、ハンバーガーが19世紀末のアメリカで誕生したのは確かなようです。工業化が進み、都市周辺に増加した工場で働く労働者の手軽で安価な食事として、ドイツ移民によってもたらされたハンバーグステーキをパンに挟んで売り出す屋台が大流行。そして、20世紀の初めには学校のカフェテリアや家庭にも並ぶ料理となるのです。
ハンバーガー黎明期には、パティに牛肉以外の臓物や小麦粉を加えてかさ増ししたり、牛肉と偽ってほかの動物の肉を使ったりするなど、粗悪なハンバーガーを出す屋台もあったといいます。悪いイメージがついてしまったハンバーガーを愛すべき料理に変えた立役者は、ハンバーガーチェーンの先駆的存在であるホワイト・キャッスルの創業者、J・ウォルター・アンダースンという人物でした。
カンザス州のウィチタという町でコックをしていたアンダースンは、1916年、貯金をはたいて自身のハンバーガースタンドを開業します。彼は、当時ポピュラーだったスライスしたパンではなく、ハンバーガー用のバンズを開発。パティを1インチ四方の小ぶりで薄いものに整え、コスト減と調理時間の短縮を図ったほか、従業員は制服を着用、1日に何度も新鮮な牛肉を店に配達させて客の見えるところで調理するなど、食の安全性もアピールしました。これが評判を呼び、支店を増やしていったアンダースンは、割引クーポンの発行や、自社の食肉工場やパン工場を設け、包装紙やスタッフの紙帽子も製造するなど、どのお店でも同じクオリティで商品を提供できる体制を整えました。1931年には131店まで店舗数を増やしたホワイト・キャッスル。その後を追うように、この時代は全米で新しいハンバーガーチェーンが次々と開業したのです。
世界でもっとも有名なハンバーガーチェーンといえば、全世界で3万5000店以上を展開するマクドナルドであることに異論を唱える人はいないでしょう。マクドナルドは1940年、カリフォルニア州サンバーナディーノでマクドナルド兄弟がオープンしたファストフード店に始まります。
当時のファストフード店の多くは、来店客の車まで注文を取りに行き、食事を運ぶカーホップと呼ばれる女性従業員を雇っていました。マクドナルドでも開業からしばらくはカーホップが活躍していましたが、第二次世界大戦後に労働力が不足すると、客が自ら店頭で注文し、商品を受け取るセルフサービス方式に路線変更。調理も単純な仕事に細分化し、流れ作業にすることで効率化を図りました。これが、安くておいしいハンバーガーをすぐに食べられると評判を呼び、売り上げは急増! 革新的なビジネスモデルと全米から注目を集め、バーガーキングやカールズ・ジュニア、タコ・ベル、ケンタッキーフライドチキンなど、いまやマクドナルドと並んで世界的なファストフードチェーンとなっている店の創業に大きな影響を与えたのです。
アメリカの国民食となったハンバーガーは、太平洋戦争終戦後、日本へ進駐してきたアメリカ軍によって日本にもたらされ、基地周辺の飲食店でつくられるようになります。1970年には日本初のハンバーガーチェーン、ドムドムハンバーガーがオープン。71年にはマクドナルド、72年にはモスバーガーやロッテリアも開業し、多くの日本人がハンバーガーを味わえるようになりました。
そんな日本のハンバーガー業界が生み出した世界的なメニューといえば「テリヤキバーガー」です。国によってはサムライバーガーとも呼ばれている和風テイストのハンバーガーは、実はアメリカにルーツがあるのだとか。
テリヤキバーガーを世界で初めて販売したモスバーガーの創業者・櫻田慧氏は、同店の開業からまもなく、新商品開発のヒントを求めてロサンゼルスに渡りました。そこで出合ったのが、醤油を使った甘辛ソースの照り焼き風ハンバーガー。日系人が経営するレストランでサーブされたこの料理をきっかけに、櫻田氏は新しいハンバーガーのアイデアを思いつき、1973年、テリヤキバーガーが誕生したのです。テリヤキバーガーは、販売当初こそあまり受け入れられなかったものの、食に対する先入観のなかった女子高生たちの口コミでおいしさが広まり、モスバーガーの店舗拡大にも大きな弾みになったといいます。
「ハンバーガーといえばファストフード」というイメージが根強かった日本で、アメリカのレストランでサーブされているような「グルメバーガー」が楽しまれるようになったのは1980年代のこと。日本で最初のグルメバーガーレストランは、1985年、東京・広尾にオープンした「ホームワークス」だといわれています。1個1000円を超えるようなハンバーガーでも、ファストフードとは異なる味の魅力が人気を呼び、1990年代には「7025フランクリンアベニュー」や「ファイヤーハウス」といったハンバーガーレストランも誕生。
2000年代には、ハンバーガー専門店出身者や、ほかの料理の世界で経験を積んだシェフたちが、それぞれの世界観を反映した個人経営のレストランを続々とオープン。当時東京を中心に巻き起こっていたカフェブームと合わせて、食事としてのグルメバーガーが注目されるようになりました。
最近は、本格的な味の追求や健康志向に応える新しいスタイルのハンバーガー専門店も人気を集めています。アメリカでは牧草牛を使用し、野菜も100%オーガニックというエレベーションバーガーやバーガー・ラウンジといった店が、若者を中心に支持されているのだそう。また、2015年11月に日本初上陸を果たしたニューヨーク生まれのシェイク・シャックも、ホルモン剤を与えていないアンガス牛を使用するなど素材へのこだわりのほか、環境に配慮した店舗デザインを採用したり、売り上げや利益の一部を地域のNPO団体に寄付したりと、社会貢献活動に力を入れている点でも注目されています。同店はニューヨークのマジソンスクエアパークの環境美化や維持管理費の捻出を目的に生まれたという背景もユニークで、これからはハンバーガーを通した社会活動もキーワードになってくるかも?
安価で手軽な食べ物として、またレストランでも食べられるグルメなメニューとしても人々に親しまれているハンバーガー。次ページでは、世界のご当地バーガーもご紹介!
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